制御基板をつくる

先週Appliletを使って、78kマイコンの動作を確認した
哲さん。Windowsマシン上での動作確認では、もの足りなく
コンピュータの中ではなく、自分がいる世界で動作確認を
したくなりました。そこで、制御基板を作ることにして、
仕様を決め、部品の買い出しにいくことにしました。
哲  :こんちは。今日は曇天で、湿度が高いなあ。
啓二:梅雨の季節だしなあ。
哲  :先週は、シミュレーションで動作確認したんだが、
      どうも実感がわかない。
啓二:シミュレーションは、あくまでコンピュータの中の
      話だからなあ。
哲  :そうなんだ。実際に動作するのを見ないと、ロボット
      へも結びつかないようでさあ。
啓二:どうやら、制御基板を自作する時期になったようだなあ。
      78kの内部にあるハードウエアモジュールは、センサー
      からの入力やアクチュエータへの出力を直接扱えるほどの
      電気的な能力がない。
      だから、相手に合わせてやるためインタフェース制御基板
      が必要なんだ。


哲  :制御基板って、難しいのか。
啓二:制御基板でも、ピンからキリまであるから、一概に言えないよ。
      でも、78kの手足になるような基板を作るなら、そんなに難
      しくないよ。
哲  :じゃあ、教えてくれよ。
啓二:まず、制御基板に何をさせるか仕様を決めないと。
哲  :将来は、ロボットを動かせるようにしたいんだ。
啓二:ロボットに必要な機能を考えてみれば、何をさせるかわかるよ。
      センサーからの入力、アクチュエータへの出力ができれば充分。
哲  :センサーってどんなのだ。
啓二:人間の五感に相当する部分だよ。目、耳、鼻、肌かな。
哲  :目だったら、カメラかな。
啓二:うーん、そういうロボットもあるけれど、78kを複数利用しないと
      無理だなあ。目は、明暗も感知するだろう。簡単なロボットは、光を
      利用するのさ。
哲  :ふーん。で、耳は、音を拾うのか。
啓二:そう。マイクロフォンがあるけれど、最近は利用しないなあ。
哲  :で、鼻は臭いか。臭いを感知するセンサーってあるのか。
啓二:あるよ。臭いセンサーという半導体部品もあるし、アルコールセンサー
      なんかも臭いセンサーの1種かな。
      使うときもあるし、使わないこともある。今回は不要だな。
哲  :肌は、触覚か。
啓二:触覚もあるけれど、温度もあるぞ。肌と目の場合は、接触と
      非接触で分類できるけれど。
哲  :たくさんあって、わからなくなってきたよ。
啓二:簡単なデジタル入力とA/Dコンバータが使えるようにしよう。
      デジタル入力は、電圧レベルで1と0に振り分けるようにすれば
      よいし、大抵のセンサーは、A/Dコンバータを使えば、出力値
      をコンピュータで扱えるようにできる。
哲  :アクチュエータは、どんなのがあるのかな。
啓二:人間の手足を考えればいいのさ。まあ、DCモータを動かせる
      ようにしておけば充分だけど。デジタル出力も必要かな。
      そうだ、マイコンの出力は電圧も電力も小さいので、アクチュエータ
      を動かせるようなパワーを出すデバイスが必要だ。
      まあ、トランジスタかFETでいいけれど。
哲  :DCモータでは、回転速度を変えられるようにしないと、
      まずいんじゃないか。回転方向も変えられないと。
啓二:そうだな。まず回転速度を変えるには、PWM(Pulse Width Modulation)
      を利用すればいいんだ。これは、実際にモータを回すときに説明するよ。
      回転方向もトランジスタかFETを複数個組み合わせることで、簡単に
      変えられる。
      が、半田付けに慣れていないと、面倒。ICを使うか。
哲  :ICって高いのか。今月は、資金繰りが苦しくて、あまり
      金を使えないの。
啓二:1個¥400程度のICを2個使うから、心配するなよ。
哲  :よかった。その程度か。居酒屋に連チャンで行ったから、
      金欠病なのよ。
啓二:だから、居酒屋に行く回数を減らせって言ったのに。
      居酒屋で¥3000を1回に使うとしたら、それだけで、
      制御基板なんてできちゃうんだぞ。
      ビールを発泡酒にして、酒の肴を自分で作れるようにしろよ。
      少しは、料理ができると奥さんと子供も見直すかも。
哲  :お前みたいに、昔からやってりゃ、簡単かも知れないが、
      この歳でだぞ。
啓二:あのなあ、いつまでも誰かがやってくれると思ったら
      大間違いだぞ。熟年離婚なんていうのもあるんだからなあ。
      せめて、自分の身の回りのことは、自分でできるようにして
      おかないと。それに瑞希さんが、病気にでもなったら、どう
      するんだ。
哲  :わかった、わかった。で、何を買ってくればいいんだよ。
啓二:ちょっと待て。紙に書き出すから。
      1  基板(Sunhayato ICB-93)       1枚(互換品可)
      2  RGB3色LED              1個
      3  カーボン抵抗1kΩ 250mW 1袋
      4  OPアンプ  LM324        1個(互換品可)
      5  TA7257                  2個
      6  ICソケット20ピン          1個
      7  ブザー                        1個
      8  タクトスイッチ                2個
      この程度かな。
      足りない部品は、ここに常備しているから、それをやるよ。
哲  :全部で、いくらくらいかな。
啓二:¥2500くらいかな。¥3000あれば、お釣りがくるはずだ。
      IC以外は、なるべく安い部品を探して来いよ。
哲  :抵抗は、1袋も買うのか。無駄じゃないのか。
啓二:抵抗が1本足りなくて、また店にいくのは無駄だろう。それに
      1袋あれば、抵抗を直列、並列に接続して、希望の抵抗値を作
      れることが多いのさ。
哲  :へーえ、ソフトばかり扱っている人間には思いつかない発想だな。
啓二:今日は、これまでにして、ロボを連れて買いに行って来いよ。
哲  :一度、ロボは家において、自転車でいくよ。
      時間と交通費を節約しなくちゃ、ロボットをつくる軍資金もできないし。
啓二:ハハハ、そうか。じゃ、そうしなよ。

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