先週3つの部品について説明を受けて、基板上の部品配置 LEDを点灯させてみる
をきめた哲さん。早く半田付けしたくて、そわそわ。自宅
でソワソワしているから、瑞希さんに厭味を言われる始末。
「あーら、私よりも魅力的な人に会いにいくから、そんな
にソワソワしてるの。」という言葉を背中に受けながら、
ロボの引き紐を引いて、啓二さんの仕事部屋へGO。ドア
をノックして、即座に中へ。啓二さんのペットAiboが
不審者かと思い、カメラをカシャ。が、哲さんとわかると
緑のLEDで(^o^)。ロボは、色盲だから?となっている。
哲 :おーい、早く半田付けさせろい。 啓二:おっ、来たな妖怪。 哲 :妖怪はないだろう。 啓二:妖怪じゃなきゃ、不審者か。Aiboに写真 撮られてやがんの。 哲 :Aiboの目の表情は、LEDで作っているんだよな。 これから半田付けして、同じようなことをすると 思うと嬉しくてさ。 啓二:まるで、子供だよなあ。まあ、その気持ちがあれば、自分の 子供にも、その思いを伝えられるようになるから。 さてと、まず、抵抗値を計算しよう。 哲 :抵抗の値って、1kΩでいんでないの。 啓二:ここにあるLEDは、RGBの各色をもっている。 赤と緑は、1kΩでもいいんだが、青は駄目なんだ。 哲 :何故だ。 啓二:青色のLEDの順方向電圧は、3.2V以上で、電流は 10mA以上は必要なんだ。だから、1kΩでは駄目さ。 哲 :ふーん。じゃ計算してみるか。 啓二:順方向電圧は、ばらつきがあるので、3.2Vと3.8V の間で3.5Vで計算してみようぜ。 哲 :3.5Vはどうやって求めたんだ。 啓二:最小の3.2Vと最大の3.8Vの和を求め、平均したんだ。 電子回路の設計では、よくやることだ。 哲 :(5V−3.5V)/10mAで150Ωだ。 1kΩを7本並列にすると、この値に近いかな。 啓二:さすがに多いな。75Ωが手元に2本あるから、これを 使えよ。2本直列にすればいいんだ。 哲 :何だ、早く言えよ。ところで、75Ωというのは、よく使うのか。 啓二:ああ、映像信号を同軸ケーブルで伝送するときに、インピーダンスが 75Ωだから、増幅器を作るときに、よく使うよ。 哲 :インピーダンスって何だよ。 啓二:インターネットにアクセスできる環境があるんだろう。 検索してみろよ。疑問があったら、自分で調べる。それが大切。 子供に百科事典のCD−ROMを買ったと言ってたよなあ。 その百科事典や広辞苑のCD−ROMには入っていると思う。 少し、頭を使えって。 哲 :面目ない。でも、いいこと聞いたぞ。デスクトップマシンで、 子供に調べさせて、相手をしてやればいいんだ。しめしめ。 啓二:子供は、電子辞書をもっているんじゃないのか。 哲 :そうだった。国語辞典と英和和英、広辞苑が入っているのを 買ってやったんだった。とほほほ。 啓二:ところで、手元にあるLEDの、アノードはどっちだ。 哲 :あれ、わからないや。どうしよう。 啓二:フフフ、そういうときのために、みの虫クリップワイヤと LED極性チェッカーを作ったのさ。 これで、確かめてみればいい。 哲 :そうだった。そういうツールを作ったんだ。忘れていたぞ。 でも、よく思い出したよな、お前。 啓二:ツールは、必要なときに作っておけば、後で役に立つのさ。 (5分ほど、ゴソゴソやって、判明したらしい) 哲 :どうやら、カソードコモンのようだ。ツールで、どのピンが 青なのかもわかった。便利だなこれ。 啓二:だろう。基本がわかれば、応用も利くし、仕事の効率も 上げられる。で、LEDに10mA程度を流すから、 マイコンのピンは限定されるな。 哲 :そうなのか。 啓二:うん。マイコンは力持ちではないから、パワーをあまり 出せない。だから、パワーを出せるピンを限定したり、 足りなければ外付けの部品でアシストしてもらうんだ。 車のパワステと同じかな。 哲 :へえ、マイコンって案外人間みたいなんだあ。 啓二:マイコンが世の中に出回り始めた頃は、万能モノマネ機器 なんて言われたこともある。ある意味で当たっているけれど。 ところで、電力計算もしておけよ。電源を入れた瞬間に燃え たりしないか確認するためにも。 哲 :わかった。赤と緑は、2Vで10mA流すとして20mW。 青は、1.5Vで10mA流すとして15mWだ。 250mWの1/10くらいだから、充分だよなあ。 啓二:250mWだと、だいたい80mW程度にするのが定石。 1/10ならば、大丈夫だ。 哲 :じゃ、半田付けしていいんだな。 啓二:ああ、いいよ。抵抗は、なるべく間隔を広くとって半田付けしろよ。 哲 :何故だ。熱は発生しないぞ。 啓二:3つの色の輝度があわないかもしれないので、抵抗を増やして 調整するかもしれないからさ。 哲 :なるほど。 (10分ほど、ゴソゴソやって、できたよう) 啓二:どれどれ、テストしてみるか。 みの虫クリップワイヤと電源を接続して、0Vにカソードを つけて+5Vを赤、緑、青の順番に触ってみるか。 ありゃ、やっぱり、青が暗いなあ。 抵抗を1本スキップしてしまうか。75Ωだけにしよう。 哲 :へいへい。リードの切れ端でブリッジしたぞと。 啓二:もう一度、赤、緑、青の順番に触ってみてっと。 どうやら大丈夫そうだぞ。 哲 :おい、やらせてくれよ。 啓二:ほらよ。 哲 :おお、光ってる、光ってる。何か、嬉しい気持ちだ。 啓二:プログラムが動いたのと、また違う感覚だろう。 哲 :そうだなあ。何なんだろうか。 啓二:大人でも、そういう気持ちになるんだ。子供ならば、素直な 部分が多いから、もっとストレートに感じるだろう。 哲 :おい、これでイルミネーション作れるかな。 啓二:ああ、簡単だよ。でも、何に使うんだ。 哲 :瑞希と居間でワインを飲むときに使おうと思ってさ。 最近、家が建て込んできて、夜景も見えなくなったから。 啓二:いいんじゃないか。